被災地から少し離れた地域では学校が明日から始まるところもあるようです。
地震の発生から数日という状況では、不安を抱えているのは、ごく自然な状況です。
しかも、まだまだ災害全体が収束したわけではありませんし、本震に加えて、規模の大きい余震が頻回に発生しましたし、現在も余震が続いています。そのため、子どもたちの中では、大きな不安を抱えている子どももいるのではないかと思います。テレビでは、終日、不安な内容ばかりが放送されているので、余計に不安がかき立てられてしまっているようにも思います。
学校関係者・先生方には学校再開に向けて最低限、以下のことに気をつけてほしいと願っています。
1.不安は、今の状況の中ではごく自然なごく健康な反応です
叱咤激励したり、「早く忘れなさい」というような対応は、逆効果になりがちです。親から離れられず学校へ登校できないということも、ごく自然なことです。無理せず、できる限りの安心と安全を確保することが今は大切です。「不安も自然なことだ」と子どもたちに分かってもらうことも大切です。
2.はしゃいだり、妙にハイテンションな反応も、不安の現れのことが多いです。
安心・安全の確保が原則です。叱ったりせず、静かに側にいてあげることが大切です。軽く体を動かしながら(一緒に散歩したりしながら)、おしゃべりするのも良いかもしれません。 「大変だったよね」などと、少しずつ言葉にできるように働きかけることが良いかもしれません。
3.物音に非常に驚いたり、小さな揺れで急に不安がこみ上げるのも、現段階では自然なことです。
何かの刺激で、不安がこみ上げるのは、大変苦しいことだと思います。しかし、そうやって思い出したり、地震の直後の不安が再現されるような体験も、少しずつ心が元気になっていくことにつながっています。無理に不安を思い出したり、直後の体験を思い出させる事は逆効果ですが、自然に思い出したり、自然に心の中で体験が再現されることは、心が少しずつ回復する事につながっているのです。しかし、これは大変つらいので、思い出すことが苦しくてたまらない場合には、専門家の力を借りることをおすすめします。
4.不安な気持ちを言葉にすることは素晴らしいです。
自然に不安な気持ちを言葉にできた場合には、その不安を受け止めたうえで、子どもをほめてあげてください。「心配だよね。心配な気持ちは自然なことだよ。そうやって、自分の気持ちをきちんと言葉にできるのは、素晴らしいことだよ」などと言ってあげてください。
5.先生方自身、保護者自身も、自分の心に不安を抱えていて自然です。
1~4までの事は、大人もおなじです。子どもたちをケアするだけではなく、自分自身のケアも大切にしてください。
取り急ぎ、思いつくこと、思い出したことを、書き留めたメモです。分かりにくい点や、不可解な点があると思います。きちんとした資料にあたって確認していただけると助かります。
文部科学省
子どもの心のケアのために―災害や事件・事故発生時を中心に―
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1297484.htm
兵庫県こころのケアセンター
災害・事故・事件によって傷ついた心
http://www.j-hits.org/kokoro/index.html
追記3月13日 18:15
学校が再開された場合、少し落ち着いてからの対応するのではなく、子どもの最初の登校にあわせて、しっかりと何らかの関わりをするべきだと思います。
例えば、小学校であれば、登校時間を遅らせるなどして、可能な限り、登校班の
集合場所などに学校の先生方が出向き、大人の目と手が離れる時間を少なくする
ことが必要だと思います。
そして、最初に登校したときに、子どもたちに、しっかりと心理的な反応について説明することが必要だと思います。
また、保護者向けには文書を発行して子どもたちに起こりやすい反応や、家庭で気をつけてもらうことをアナウンスすることが必要だと思います。
追記3月13日 19時54分
静岡大学の小林朋子さんのブログで、こころのケアのための資料が提供されています。
A4一枚で、カラーで図もたくさん使われていて分かりやすいです。
こちらにあります。
http://kobaken-shizuoka.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-6de6.html