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2008年3月

2008年3月26日 (水)

確かな存在

「なんか、最近、うちの学校は、授業に出ないで廊下をうろついている生徒が目立ってきてるんです。そのうちの1人の生徒Aは、相談室の前を通りかかると、通りすがりに、相談室のドアをガンガンけっ飛ばして、「○○おるんかあっ!!!!」と私の名前を呼び捨てにして、大声で叫ぶんですよ。」
ある中学校のスクールカウンセラーが、こんなことを言っているのを聞きました。

私が最初に連想したことは、“この子は、スクールカウンセラーがいない日も、相談室のドアをガンガンけっ飛ばして、大声で叫ぶんだろうか?”ということです。スクールカウンセラーは、週に1日程度しか学校にいないので、学校にスクールカウンセラーはいないことの方が多いのです。スクールカウンセラーが学校にいない日に、その子は、どんな風に学校で人と関わって過ごしているのかなぁ・・・?と想像を巡らせてみました。

もし、その子が、スクールカウンセラーのいない日に、スクールカウンセラーのいない相談室のドアをガンガンけっ飛ばして、「○○おるんかあっ!!!」と叫んでいるとしたら・・・と、その様子を想像すると、切ない気分になります。その子は、何かを求めているのに、何もないところに向かって、叫んでいるわけです。大きなエネルギーが何もないところに向かっているところが、その子が抱える空虚さをはっきりと示しているように感じます。そして、スクールカウンセラーという存在は、その子にとって、いるかいないかつかみ所がない、いてもいなくても同じ「非常に不確かな存在」だということだと思います。

そこで、相談室のドアをガンガンけっ飛ばして、「○○おるんかあっ!!!!」と叫んでくる子には、こんな風に関わってみたいなぁと想像しました。まず、相談室のドアを開けて、「こんにちは、ご用ですか?」と穏やかに応え、チャンスがあれば、「私は、週に1日しかいないけど、スクールカウンセラーがいない日にも、そんなふうに私のこと呼んでるの?」と聞いてみたい気がします。

その子の答えを想像すると、2通り想像できます。
1.スクールカウンセラーがいるいないにかかわらず、相談室の前を通るときに、ガンガンけっ飛ばしている
2.スクールカウンセラーがいる日だけ、ガンガンけっ飛ばしている

1.の場合は、「いっつも呼んでもいねぇし・・・。ほんとに影薄いよねぇー。仕事さぼってばっかだろ、役立たずだし。バーカ!!」などと、答えてくれそうです。そんなときには、「いっつも、呼んでくれてたんだね、ほとんどいないから、申し訳ないねぇ。」と応えたい気がします。

2.の場合は、「いるかいないかぐらい分かってるよ。バッカじゃねぇの?」と応えてくれそうです。そんなときには、「いるかいないかは、どこで分かるの?」と聞いてみたい気がします。「ハァ? いるときは電気がついてるだろっ、ボケ!」などと応えてくれる場合と、「来る日は、○曜日だろ、それぐらい知ってるよ、バカにすんなよ、ボケ!」などと応えてくれる場合があるような気がします。

電気がついているからわかる、という場合と、曜日で分かる、という場合の違いは、その子にとって、スクールカウンセラーの存在が、「確か」なものであるかどうかということの違いだと思います。電気がついているから分かるという場合には、その子にとってスクールカウンセラーは、いるかいないか分からない、いたりいなかったりする、「あまり確かではない」存在だということです。曜日で分かっているという場合には、その子にとってスクールカウンセラーは、いないことも多いけど、いるときははっきり分かる、「少し確かな存在」だということが言えます。

「電気がついているからわかる」と応えてくれる子には、「じゃあ、いるときは必ず電気つけとかないとね。」と応えたいと思いますし、「曜日で分かる」と応えてくれる子には、「たまには違う曜日にも来るから、チェックしといてね」と応えたいと思います。

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2008年3月12日 (水)

それでもスクールカウンセラーは減らされていく

2つ前のエントリと1つ前のエントリに紹介したように、スクールカウンセラーは、一応、評価できる仕事をしていると思います。でも、配置は実質的に削られていっています。この現実は何とかならないものでしょうか・・・。

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教育相談等に関する調査研究協力者会議の提言です

1つ前のエントリで紹介した調査結果などをふまえて、「教育相談等に関する調査研究協力者会議」が提言しています。

スクールカウンセラーに関する提言を大幅に要約すると、

・スクールカウンセラーは効果があり、不可欠である
・スクールカウンセラーを安定して配置することが大切
・スクールカウンセラーの日数を増加させるように検討が必要
・スクールカウンセラーの小学校への配置の拡大が大切

原文を紹介すると、「はじめに」の部分では


学校における相談体制において、今やスクールカウンセラーは不可欠の存在になりつつある。昨秋と同様、いじめが社会的な問題となった平成7年度に、教員免許を持たない、言わば学校外の臨床心理の専門家として初めて全国少数の学校に導入されたスクールカウンセラーは、児童生徒の多様な悩みや相談に対応するため、その後順次拡大され、平成18年度には全国で約1万校に派遣(中学校では4校に3校の割合で派遣)されるようになった。この間、スクールカウンセラーに対する役割や期待は増大し、教育委員会及び学校にとって、その拡充を求める意見は極めて多い。
と述べています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308.htm

また、「今後の検討の方向」では

○スクールカウンセラーの安定した配置に対する教育委員会や学校の要望は極めて多く、社会全体に関わる全国的な課題であるいじめや不登校を始めとした児童生徒の様々な問題に対応していくためには、今後とも、引き続き、国及び都道府県等が連携協力して配置体制を整えていくことが適切である。

○各学校におけるスクールカウンセラーの派遣が週1回となっている現状では、継続的な相談効果や校内の一体的、組織的な相談体制の確保は困難であり、何よりスクールカウンセラーを待つ児童生徒の心にしっかりと応えていくことは困難である。このため、可能な限り、週当たりの相談時間の増加や相談日数の増加について検討することが必要である。

○中学校を中心としたスクールカウンセラーの配置については、少年非行の低年齢化や児童虐待の深刻化等を踏まえた小学校への配置の拡大、高等学校を含めて地域や学校の実情を踏まえた弾力的な配置・活用、緊急時における柔軟な活用等が一層可能となる方向で検討することが必要である。とりわけ、小学校への配置の拡大は、中学校において増加する問題行動等の未然防止といった観点からも大切である。


ということです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002.htm

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スクールカウンセラーに対する評価

新年度のスクールカウンセラーの配置がはっきりしてきました。各県で少しづつ事情が違うようですが、同じ時間で、担当する学校を増やしたり、実質的に配置が削られてきています。

スクールカウンセラーが必要なければ税金の有効な活用の点からも配置を削るのが望ましいでしょう。しかし、実際のところ、スクールカウンセラーは、どのように評価されているでしょうか?

例えば、2007年9月6日に、「教育相談等に関するアンケート」が実施されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082310.htm

小中・高等学校の校長先生がスクールカウンセラーをどのように評価しているかについて結果が出ています。
中学校の校長先生(スクールカウンセラーを派遣している中学校 567校)の調査結果では、

現在のスクールカウンセラーの勤務形態について

 回答数構成比
週1回38568.1パーセント
週2回7713.6パーセント
その他(月2回、3回など)10318.2パーセント

スクールカウンセラーの活用についてどのように考えますか?(1つ選択)

連日の勤務が望ましい25.4%
連日ではなく、週2日又は週3日のように1週間に複数日の勤務が望ましい49.3%
現状の勤務形態が概ね適当14.1%
相談効果があまり見られず、それほど必要性が感じられない0.2%

スクールカウンセラーについてどのように受け止めていますか?(1つ選択)

学校の相談体制の中核的な役割を果たしていると認識している14.1%
生徒や保護者が気軽に悩みを打ち明ける存在として、必要な存在と感じている27.8%
教員とは異なる観点を持つ外部の専門家という位置づけで、効果があると感じている53.3%
スクールカウンセラーとのコミュニケーションが不足していることなどにより、学校として、必ずしも有効に活用されているとは言えない1.9%
スクールカウンセラーに相談する生徒があまり見られないなど、学校としてスクールカウンセラーの活用に疑問を感じている0.0%

概ね、スクールカウンセラーは週1回の勤務で、専門家という位置づけで効果が感じられる。そして、現在の勤務日数よりもより多い日数で勤務することが望まれる。という調査内容です。これは、中学校567校の校長先生が回答している内容です。

私の個人的な感想でも一応、スクールカウンセラーは役に立っていると思うし、校長先生たちも、そう判断してくれているということです。

続きの記事
「教育相談等に関する調査研究協力者会議の提言です」
 http://arusc.cocolog-nifty.com/arusc/2008/03/post_4e74.html

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