言葉を発するときの気分
ビューティフル・マインドという映画を見ました。
映画の内容にはここでは触れられないのですが、良い映画だと思います。お勧めです。
ここで書きたいことは、映画の最後のシーンで主人公で数学者のジョン・ナッシュが受賞のスピーチをしている場面についてです。
スピーチの最後で、ジョンは
今夜 私があるのは-、 君のお陰だ。 君がいて 私がいる。 ありがとう。
と言います(日本語字幕)。
このシーンでは、客席には、主人公の奥さんのアリシアが座っていて、スピーチをするジョンと客席からジョンを見つめるアリシアが交互に画面に写されます。ふと思ったのですが、日本語字幕で「君」と書かれていますが、原文ではきっと、“you”ではないかと…(当たり前ですが)。そして、あることを、ちょっと不思議に思ったのです。
それで、調べてみると
I'm only here tonight because of you. You are the reason I am. You are all my reasons. Thank you.
と、ジョンはスピーチしています。
この場合、“you”はアリシアを指すと考えるのが自然でしょう。映像でも、アリシアに語りかけているようになっていましたし…。でも、英語では、“you”は、単複同型なのですね、たしか。だから、聴衆に向かって「皆さんのおかげです」と語りかける場合にも、“I'm only here tonight because of you.”というようになるのではないかなぁと思います。
ここまで書いてきて、私は英語の専門家でもなんでもないので、非常に恥ずかしい勘違いをしているのではないかと、不安になってきましたが、続けます。
べつに、ここまでは不思議でもなんでもないのですが…。
私が不思議に思ったのは、英語では、「あなた」と「あなた方」が同じ単語で表現されるということです。私自身が自分を振り返ってみると、言葉を使っているときに、「あなた」と言うときと、「あなた方」と言うときは、私(言う側)の内側に生じている気分に違いがあるのです。もしかして、英語を使う人は「あなた」と言うときと「あなた方」と言うときには、生じている気分はあまり違いはないんだろうか…? それって、不思議だなぁ…という、疑問を持ったのでした。