初仕事
4月の中頃ですが、新しく勤務を始めた学校で相談室を開きました。
学校ではなかなか良い場所はもらえないことが多いのです。スクールカウンセラーの都合や考えを優先するわけにはいかないでしょう。スクールカウンセラーのために学校があるわけではないので、それがごく当たり前のことだと思います。今回の相談室は、まあ、ベストではないにしても、悪くない部屋です。
でも、校舎自体が少し古いので、いくつか気になることがありました。
一つは、カビくさいということです。まあ、換気に注意してやっていくしかないでしょう。
もう一つは、ドアを開け閉めするときに、非常にうるさいということです。木と木が激しくぶつかる音と、中にはめてある薄いガラスが振動してたてる音が原因のようです。ドアにはクッションのようなものは一切付いていないので、余計に音が激しくなるようです。
そこで、最初の仕事は、このドアを何とかすることにしました。まず、消しゴムを薄く切って、ドアがぶつかる部分の上と下と中央に貼り付けました。最初は、貼り付けたものが厚すぎて、ドアが上手く閉まらなくなりました。そこで、カッターで削って調整しました。これで、かなり音が小さくなりました。
でも、ガラスが振動してぶつかるときに出る「ガシャン」という感じの音は、ほとんど変わりません。ガラスとそれをはめてある枠に隙間があって、それが原因のようです。そこで、ガラスと枠の隙間に詰め物をすることにしました。透明ビニールのゴミをゴミ箱から拾ってきて、細長く切りました。そして、それを、4重にたたんで、テレホンカードを使ってその隙間に詰め込んでみました。見た目には、ほとんど目立ちません。しかも、ガラスが振動するときに出る音は、非常に小さくなったのです。
初仕事は、無事に成功しました。めでたしめでたしです。
こんなつまらないことが初仕事かと驚く方もいらっしゃるでしょうか?
私は、相談室の環境整備は非常に重要な仕事だと思っています。やはり、来談者ができるだけ落ち着いて話ができる環境を整えることはカウンセラーの仕事だと思います。できれば、最初の来談者が来る前に、ある程度の環境を整えておきたいところです。
それは人にはなかなか任せられないのです。自分で納得がいくかどうか、試行錯誤的にやってみて色々考えるからです。スクールカウンセラーの窓口をやってくれる先生などが、細かく気を配ってくれて「何でも言ってください」とおっしゃっていただけます。だから、任せたら良いではないかという考えもあるでしょう。でも、ドアの音が出ないようになどということに対する私の要求は非常に細かく高い水準で要求しています。それに他人をつきあわせることも大変ですし、つきあってもらっても、相手がうんざりするのではないかと思います。
というわけで、私は相談室の環境整備は非常に重要な仕事だと思っています。そして、ほとんどの場合自分でやります。